バイオグラフィー

山田流箏曲・三味線演奏家

「古典から現代へ」をテーマとして、ニューヨークと日本を拠点に世界各国にて演奏。山田流の豊かな爪音と古典を軸足としつつ、第一線で活躍する作曲家に数多く委嘱し「箏・三味線・箏歌」の新たな可能性を追求している。国際的な感覚と日本伝統音楽の感性を併せもつ演奏は、国内外で評価されている。

高いクオリティに空間も雰囲気も保たれる
(上野晃:音楽評論家)

木村伶香能の三味線と歌は秀逸
(ニューヨーク・タイムズ紙)


【日本での活動】

4歳よりピアノを学び、10歳から箏の手ほどきを井上友香能師より受ける。14歳より山田流箏曲を亀山香能師に師事、現在に至る。東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業。2000年、六世中能島弘子師より、名号「伶香能」・教授を許さる。NHK 邦楽技能者育成会第46期修了。現代邦楽研究所研究科(三味線専攻)修了。同所にて、現代三味線を西潟昭子師に師事。2004年、文化庁新進藝術家インターンシップ研修員として河東節三味線を人間国宝・山彦千子師に師事。河東節「山彦伶子」の名を許さる。

これまでの受賞歴
2015年、第24回青山音楽賞・バロックザール賞受賞。[前年度のリサイタルの成果により]
2005年、NHK邦楽オーディション合格。[盤渉調:中能島欣一]
2003年、第10回賢順記念全国箏曲コンクールにて山田流奏者として初めて賢順賞を受賞。[熊野:山田検校]
2002年、第4回万里の長城杯国際音楽コンクール・アンサンブル部門優勝、大阪駐総領事賞受賞。[華:沢井忠夫]
2001年、トッパンホールデビューコンサートオーディションに邦楽器奏者として初めて合格。
同年10月にデビューコンサート開催。

東京を中心に全国各地で演奏活動を続ける。龍安寺、唐招提寺、春日大社などの世界遺産でも演奏を行う。2008年、浜松市文化振興財団主催:アクト・ニューアーティスト・シリーズに邦楽器奏者として初出演、「木村伶香能 箏・三絃コンサート」を企画演奏。NHK-FM放送「邦楽のひととき」に、亀山香能師、西潟昭子師と共に度々出演。山彦千子師と共に、歌舞伎公演(十二代目市川團十郎丈主演「助六所縁江戸桜」)、日本舞踊公演等に出演。2009年、洗足学園音楽大学制作「伝統音楽デジタルライブラリー」に三味線演奏を収録。YouTube配信による、同ライブラリーは80万回を超える視聴を得ている。日本現代音楽協会主催公演、現代邦楽研究所主催公演で数多くの新曲初演。2017年、日本テレビ放映「THE MUSIC DAY」では歌手・倉木麻衣の「渡月橋」をオーケストラ(藤原いくろう指揮)と共演。2018年、賢順記念全国箏曲祭25周年記念演奏会に出演。[三つの断章:中能島欣一]2021年、「箏コンチェルト:源氏」を新日本フィルハーモニー交響楽団メンバーによる弦楽四重奏と共に日本初演。

チェリストの玉木光と共に「デュオ夢乃」(英語名:Duo YUMENO)を2009年に結成。日米の第一線で活躍する作曲家らと共同し、互いの原点に根ざしながら新しい室内楽を開拓している。2010年〜2013年、「デュオ夢乃コンサート – 花鳥風月 – 」を東京、京都、奈良、長野など各地で開催。2015年〜2018年、「デュオ夢乃リサイタル – 平家組曲 – 」を全国各地で開催。2019年、「デュオ夢乃10周年記念リサイタル」を東京、京都にて開催。

これまで、洗足学園音楽大学講師、現代邦楽研究所講師、桐生大学箏曲部講師を務め、現在も度々後進の指導にあたる。メディアでは、ジャパン・タイムズ、邦楽ジャーナル、邦楽の友などで活動が紹介されている。


【ニューヨーク・欧米での活動】

欧米の室内楽・舞台芸術シーンでの実演、様々なアーティストとのコラボレーションを通して、多彩な表現を学ぶ。

国際音楽祭・国際交流
2004年以来、数々の国際音楽祭に招聘され、ワルシャワ秋の音楽祭、フランス・ヴォルドーのNova Art、スイス・チューリッヒ王立演劇劇場、リトアニア・ヴィルニュス音楽祭、イスラエル・フェスティバル、韓国・ウィジョンブ市音楽演劇祭、フランス・シャルルヴィル「世界人形劇フェスティバル2019」等に出演。国際交流基金派遣により中南米公演(ペルー、ボリビア、ジャマイカ、ブラジル)の他、FIFAワールドカップ・カタール2011、イタリア・ミラノ公演、中国・南京公演など文化事業にて演奏。

デュオ夢乃としては、2013年、トルコ・テキルダー大学の招聘により、同大学と在イスタンブール旧日本国総領事公邸にて演奏。2014年、「日本・カリブ交流年」記念事業のオープニングイベントとしてトリニダード ・トバゴにてリサイタル開催。2015年、イギリス・ケンブリッジ大学の招待によりリサイタル開催。2018年、「日本・コロンビア修好110周年」記念事業として、ロス・アンデス大学にてリサイタル開催。

全米での活動
アメリカでは、2006年、ニューヨークにて第1回ソロリサイタルを開催。2008年、アメリカ3都市ソロ公演を開催(国際交流基金助成)。2010年の渡米を皮切りに、ケネディ・センター、リンカーン・センター、ジャパンソサエティ、シカゴ現代美術館、アジアソサエティ・テキサスセンターなど全米各地のパフォーミングアーツ機関、在ワシントン日本大使公邸ならびに在ニューヨーク大使公邸主催によるコンサート、G20 ・国際通貨基金(IMF) 国際会議、国際連合本部などで演奏を重ねている。2019年、カーネギーホール・ワイルリサイタルホールにて「デュオ夢乃10周年記念リサイタル」を開催。古典の名曲「新さらし」から一柳慧氏による委嘱初演曲を含む音楽性の高いプログラムは、ソールドアウト公演となった。
教育機関では、ハーバード大学、コロンビア大学、ニューヨーク・フィルハーモニックの教育プログラムなどで、公演やレクチャーを行っている。またレジデンスアーティストとして、プリンストン大学、シカゴ大学、ハワイ大学、ルー・ハリソン・ハウスなどのプログラムに参加し、日本音楽の魅力とその可能性を発信している。

ソリストとして
2013年、「箏コンチェルト: 源氏」[十三絃箏版](ダロン・ハーゲン作曲)をユークリッド弦楽四重奏と初演後、各地のカルテットと度々共演。作曲家の推薦により、2018年、ウィンターグリーン・フェスティバル・オーケストラ(メイアン・チェン指揮)と共演。2021年、日本初演後、弦楽アンサンブル INTERWOVENとニューヨークにて共演。

2014年、「箏と室内アンサンブルの為の太鼓橋」(中堀海都作曲) をハイダオ・アンサンブルとボストン・ジョーダンホールにて世界初演。「コンチェルタント」(ジェームズ・シュレファー作曲)をテキサス・フェスティバル・オーケストラ(ペリー・ソウ指揮)とアメリカ初演、この演奏がナショナル・パブリックラジオ(N P R)の「Performance Today」にて全国放送される。2022年、イギリスのイングリッシュ・シンフォニー・オーケストラと共演予定。2017年、「木村伶香能 三味線リサイタル」をオペラ・アメリカ・リサイタルホールにて開催、「三味線コンチェルト:ポラリス」(マーティン・リーガン作曲)を委嘱初演。

 

舞台芸術において
国際イプセン賞受賞演出家のハイナー・ゲッベルスの劇作品に出演。ニューヨークのダンス界を牽引してきたニューヨーク・ライブアーツ主催「BELL」(ベッシー賞ノミネート作品)では、三味線と歌がニューヨーク・タイムズ紙で高く評価された。また、アメリカ交響楽団のオペラ公演「イリス」、バジル・ツイスト|ジャパンソサエティ製作「Dogugaeshi」に出演。2019年、メトロポリタン美術館にて世界初演されたオペラ「紫の月」(ミチ・ウィアンコ作曲)では箏歌も披露し、賞賛を得ている。

室内楽奏者として
デュオ夢乃として、全米室内楽協会(Chamber Music America)より、Classical Commissioning Program Grant (2014年)を授与され、2016年の年次総会では全米の室内楽グループより選出され、招待演奏を行う。Chamber Music America Magazineでデュオ活動が紹介される。また、多くのプロフェッショナルの弦楽四重奏、アンサンブルと共演し、新曲の初演を手掛けている。2021年にヴァイオリニストの徳永慶子によって設立された、弦楽アンサンブルINTERWOVENでは、中核メンバーとして活動。

箏曲の古典を世界へ
2015年、箏曲の古典作品を研鑽しその魅力を伝えるべく、定期公演「ニューヨークの四季 – 日本音楽の彩り – 」をスタート。歌詞の英訳も試みつつ、これまでに50以上の作品を紹介。第10回記念公演では、森宗碧氏(茶道家)と共演。第20回記念公演では、源氏物語研究に造詣の深いメリッサ・マコーミック女史を特別賛助に迎え、山田流箏曲の名曲「石山源氏・上」などを演奏。四季のうつろいと共に日本音楽を紹介するニューヨークでも稀なシリーズを継続している。


現在、木村伶香能 箏・三味線教室 – 伶の会 – 主宰
桐香会、中能島会、箏曲新潮会、山田流箏曲協会、日本三曲協会、
全米室内楽協会 (Chamber Music America)、各会員。


現代においては、邦楽の世界における芸名は一般的に馴染みにくいものかもしれませんので、簡単にご紹介させて頂きます。私の芸名「伶香能(れいかの)」は、箏・三味線の名手、中能島欣一(1904-1984)を輩出された中能島家の「能」、尊敬する恩師、亀山香能師の「香」、そして私自身が選ばせて頂いた「伶」の3つの文字から成り立っています。この「伶」という字には、「音楽を奏でる人」という意味があります。(「亻(にんべん)」は人を表し、「令」は神に拝してお願いするという意から)海外では、英語の発音を考慮の上、本名と併せて「Yoko Reikano Kimura」として活動しています。



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