地歌「さらし」

京都の宇治川で古くから行われている「布ざらし」を描写した作品です。「布ざらし」とは布を川水にさらして漂白する古来からの風習です。この作品は、江戸時代の元禄・宝暦年間に深草検校によって作曲されました。合の手では、「さらし地」と呼ばれる音型(DAB♭A) が反復され、歌詞には宇治川や近辺の名所が詠み込まれています。この録音では、合の手のみを演奏しています。明治時代以前から、名手達によって“洒落弾き”や“盛り込み”を入れた技巧的な演奏が試みられてきましたが、1916年(大正5年)5月に中能島欣一によって発表された「新さらし」は、即興的な超絶技巧と、技を越えた音楽性がとりわけ高く評価されています。


さらし(北沢勾当原曲、深草検校作曲)
演奏:木村伶香能(三絃)*旧姓の木村陽子で掲載されています。
録音:洗足学園音楽大学 伝統音楽デジタルライブラリー(2009年)